激流戦隊北上川作戦報告書
<灼熱の盛岡冷麺インターハイ作戦>
〜 東北焦土と化す! 〜
[1999年夏季大遠征]
序章
ここ数年のアウトドア・ブームのおかげで、カヌーという乗物もずいぶん市民権を得てきたようである。いままでは、もっぱらスラロームを中心とした競技一辺倒のイメージだったのが、たとえば川を下ったり、湖に浮かべたり、海を漕いだりと、「誰にでも手軽にできる」という印象に変わってきたようだ。
これはたいへんよい傾向で、よく人と話していて趣味の話になったりすると、「カヌーで川を下るのが好きですねぇ」などと答えても、「それは楽しそうですね」と違和感なく受け入れてもらえる。
ところが、この先の展開が問題で、「それは楽しそうですね」のあとに続くのは、たいがい、
「じゃあ、夏はあちこち行くんでしょう?」
というセリフである。
おれたちは夏場は川を下らない。
なぜなら、6月から10月にかけては川は鮎釣り師でいっぱいになってしまい、カヌーなどとても浮かべられないからだ。
そんなわけで、いままでは夏場はもっぱら本栖湖あたりで1日中ビール飲みながらうだうだしているばかりだった。まあ、これはこれで楽しかったのだが、昨年、隊長のおれと高野居候が、遠くカナダは極北のユーコン川を下ったことがきっかけとなって、「今年は夏場も下ってみるべぇ」というふうになった。
鮎釣り師がいないという条件のもとで、さっそく候補地を検討したところ---
北海道の川。釧路川、天塩川等々
北上川(岩手)
くらいしかないことがわかった。
新宿の居酒屋で行われた検討会議の際、高野居候が力強く言った。
「北上川にしましょう! 東北の川をのんびり下りましょう!!」
北上川は盛岡のやや上から流れ出て、花巻、北上、一関と岩手の街々を抜けて100km以上南下したあと太平洋に注ぐ東北一の大河である。高野居候はこの川を前々から下りたかったらしい。
とくに異存ないので、おれは高野居候の意見に賛成した。
8月1日出発、下る区間は盛岡から北上までの60km。流れがけっこう速いそうなので、2泊3日 + 移動日、というスケジュールを組んだ。
この計画に賛同したのは、春の四万十川、魚野川を欠席し今年に入ってからまだ一度もフネを組み立てていない激流ブラック隊員と、新艇をゲットしたばかりの田口ドレイである。
かくして、この4名が夏の北上川を下ることになった。
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