激流戦隊仁淀川作戦報告書
<黒潮カツオ叩きまくり作戦>
〜 ドレイ・ニシモト大活躍! 〜
[2000年春季大遠征]
序章
深夜。
ふいに目が醒めた。
ただ目を閉じているというだけの、夢とも現実ともつかない状態をさまようような、そんな眠りでしかなかったが、とにかく寝ていたことには変わりがない。
目を開けたとはいえただそれだけのことで、朦朧とした頭はそこから情報を受け取るのを拒否したままだった。やむをえず、全身が麻痺したような模糊とした感覚にしばらく身を任せた。
低いうなるようなエンジン音と断続的な車体の揺れで、ようやく現実に引き戻された。車内は真っ暗で、ときおりカーテン越しにナトリウム灯のオレンジ色の光が無幻灯のように車内を照らすだけだった。
カーテンを少しずらした。窓は露で曇っていた。手の平で軽く拭いてやり、窓越しに外の景色を眺める。車内のそれよりもさらに茫漠とした闇が広がっていた。
月のない夜だった。山や樹々は黒い巨大な影となって漆黒の闇の中に屹立していた。そのずっと遠くには切れ切れに雲が漂っているのが見えた。
いったいどのあたりを走っているのだろう? ----- 疑問が脳裏をよぎったが、手がかりになるような景色やあるいは人工物は、まるで闇に飲みこまれてしまったかのようにまったく見えなかった。
隣の座席に目をやると、ドレイ・ニシモトが疲れた表情を浮かべ眠っていた。それは苦悶の表情 ---- 逃れ得ぬ運命からなんとか逃げだそうとして苦悶している表情のようにも見えた。
深夜。
バスは高速道路を走っていた。
道は深い闇の中に消え、どんなに目を凝らしてもその先に何が待っているのか見えなかった。
闇を抜ける道は、想像を越えるいくつもの出来事につながり、やがてそれはひとつの伝説を形成するに至るのだが、しかし、この段階ではまだそんなことはわからなかった。
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